https://www.minamitohoku.or.jp/up/news/minamitouhoku/topnews/201106/topic.htm
さらに別の検査、具体的には
直腸診や画像検査(MRI・CTの検査など)を行ないます。
また、病変を採取して調べる「生検」で前立腺がんであるかどうか、を確定します。
https://www.southerntohoku-proton.com/
https://www.sasaki-urology.com/column/zenritsusen_seiken.html
MRI-超音波弾性融合画像ガイド下前立腺生検 - Google 検索
グリーソンスコア
前立腺生検の結果、
前立腺がんと診断されるとがんの細胞の構築の悪性度をグリーソンスコアという分類を使って評価します。
この分類は、米国のグリーソン博士によって提唱された前立腺がん特有の組織異型度分類です。
最近では、前立腺がんの治療方法を選択するうえで重要になっています。
まず、生検で採取したがん細胞の組織構造を顕微鏡で調べ、
もっとも面積の多い組織像と、
2番目に面積の多い組織像のそれぞれを悪性度1(もっとも悪性度が低い)から5(もっとも悪性度が高い)までの5段階の組織分類に当てはめます。
そして、その2つの組織像のスコアを合計したものがグリーソンスコアになります。
グリーソンスコアが6以下は性質のおとなしい前立腺がんであり、
7は中程度の悪性度、8以上は悪性度の高い前立腺がんと診断されます。
UroNav(ウロナビ)について | 医療法人社団實理会 東京国際大堀病院
PSA FT比 Free-Total PSA比、エフティー比 - Google 検索
https://ohori-hosp.jp/division/urology/psa/
腹部超音波検査、経直腸前立腺超音波検査 - Google 検索
その中には遊離型PSA(free-PSA)と呼ばれる成分が含まれています。
この遊離型PSAが総PSA(total-PSA)を100%とした場合、
どれくらいの割合で含まれているかの比率を算出した数値がF/T比です。
例えばPSAが6.0ng/mLで遊離型PSAが1.5ng/mLだった場合、
1.5÷6.0×100=25%という計算になります。
逆に良性の前立腺細胞は遊離型PSAを多く含むことが知られています。
したがって、
F/T比が小さい(遊離型PSAが少ない)ほど前立腺がんが存在する可能性が高く、F/T比が高い(遊離型PSAが多い)ほど前立腺肥大症などがんでない要因によってPSAが上昇している可能性が高いと判断されます。
何%であれば“がん”が存在するという明確な数値はありませんが、
F/T比が10%未満であれば前立腺がんの可能性が高く、
20%以上であれば前立腺肥大などによるPSA上昇の可能性が高いと言われています。
10~20%の間の場合どちらとも言えません。
この検査のみで前立腺がんの有無を確定することはできませんが、
他の検査と併せてがんの可能性を判断します。
多くの方が人間ドック、検診あるいは泌尿器科の外来で
血液のPSA検査で異常を指摘されることがきっかけとなります。
その後、泌尿器科の外来において直腸診で前立腺に硬いところはないかチェックし、
直腸から入れる超音波検査で
前立腺の形・大きさ・がんを疑う部位がないかどうかチェックします。
その後、必要であれば前立腺MRIをチェックするのが一般的です。
[直腸診]
[経直腸前立腺エコー]
[前立腺造影MRI]
[前立腺針生検 (経直腸、経会陰)]
検査後の注意点
- 検査後は、針を刺した部分を圧迫止血します。場合によっては消毒薬のついたガーゼを直接肛門の内に入れたり、尿道に管を入れる場合もあります。検査当日は、ベッド上安静になり、その間の食事や排泄はご不自由をかけますが御容赦下さい。また感染予防のために抗生物質の投与を行います。
- 検査は最小限の負担になるように心掛けていますが、検査の性質上、血便が出たり、ときに血尿が出る場合もあります。尿道に管を入れた場合、検査翌日には抜く予定ですが、血尿の程度によってはしばらく入れたままにしておくこともあります。ほかに腹痛、出血、貧血、発熱などの合併症を認めることもあります。これらを含め、合併症にたいしては迅速に適切な対応をとります。場合により退院が1-2日遅れることがあります。
- 検査結果が判明するのに約1-2週間かかります。次回の外来受診時に、担当医から結果説明を行います。
超音波診断機だけではよほど大きながんでなければ見ることはできず、
多くの場合、前立腺の位置と生検針しか確認することができません。
こうしたがんの疑われる部位を正確に事前予測できない中、
前立腺全体にまんべんなく複数個所生検針を刺し組織を採取して診断するのが
従来型の「系統的生検」です。
これに対して、今回当院で導入した「バイオジェット」による「標的生検」という手法は、
事前にMRI画像を撮影することで、がんができている部位をあらかじめ確認し、
前立腺に生検針を刺す際の超音波画像に
ソフトウェア上で事前のMRI画像(がんの疑いのある部位が特定できた画像)を
重ね合わせた画像イメージを合成し、
針を刺すべき場所を教えてくれるシステムです。
これにより、効率よく正確に疑わしい部位から組織を採取することができます。
https://kyoto.hosp.go.jp/html/guide/medicalinfo/urology/description.html#6
PSAが高いといわれ泌尿器科に受診された際の検査の手順を示します。
①直腸診
肛門から指を直腸内に入れ、前立腺を触診します。
古典的な検査で、少し苦痛を伴いますが、
泌尿器科医なら進行した前立腺がんはこの触診で診断できますので、
必ず行うべき検査です。
②腹部超音波検査
前立腺肥大症の有無を調べます。
前立腺肥大症があればPSA値は高くなりますので、これも必須の検査です。
①および②の検査で前立腺がんが疑われた場合、MRI検査を行います。
④前立腺生検
前立腺がんの確定診断を行う検査です。
実際に前立腺の組織を採取し、がん細胞があるかどうかを診断する検査です。
③のMRI検査にて前立腺がんの疑いがある場合は、前立腺生検をお勧めします。
しかし、この検査は生検検査にしては体への負担が大きく、
感染症などの合併症をおこす可能性もありますので、
80歳以上の高齢者や基礎疾患をお持ちの患者さんには
その適応を慎重に判断する必要があります。
泌尿器科専門医が患者さんごとに
前立腺生検のリスク・ベネフィットを判断し
適応をしっかり見極めることが大切です。
前立腺生検について
前立腺の組織を採取する検査です。
ます、砕石位(女性がお産をする体位)となり、肛門から直腸内に超音波装置(指2-3本分の太さ)を挿入し、
直腸の壁を介して超音波で前立腺を観察しながら、
直腸の壁を貫いて生検針を前立腺に刺し組織を採取します。
10-15本の組織を採取します。検査時間は10-15分程度です。
基本的には1泊2日の入院で行っています。
合併症としては、
出血(肛門からの出血、血尿、精液に血がまじる)、
尿閉(尿はでなくなる)、
感染(直腸の大腸菌が前立腺に感染し急性細菌性前立腺炎を起こす)があり、
特に感染症は、発症頻度は低いですが、重症化することもあるため、
退院後1週間は自宅で定期的に体温を測定し38度をこえる発熱があった場合は、
検査を行った病院もしくは当院に連絡するようにしておくことが大切です。
全身にひろがる前立腺がんではPSAが1ooo以上になる - Google 検索
手術療法の利点
①「前立腺がとれる」
これが手術療法の一番の利点だと思っています。
実際に前立腺を摘除できるので、その前立腺について細かく病理検査を行うことができ、実際どのくらいの悪さの前立腺がんであったのかを知ることができます。
つまり、今後の再発の可能性について手術療法であれば予測がつきます。
②治療後のフォローが簡便
手術をすれば前立腺がなくなりますので、PSAは0.1以下になります。
術後のフォローとしてはPSA値を数か月に1回みていき、PSAが0.2を超えれば再発とすぐに判断できます。
ですから再発した場合に次の治療への移行が迅速に行えます。
③手術後再発した場合、放射線治療を行うことができる
手術療法後に再発した場合、放射線治療を行うことができます。
放射線治療の場合は、再発したときに手術療法はできません。
つまり、転移のない前立腺がんの中でもhigh riskと呼ばれる前立腺がんがあるのですが、
そのような患者さんには私は手術療法を積極的にお勧めします。
high riskの患者さんは術後の再発のリスクが高いわけですので、再発後に放射線治療ができること、手術によりリンパ節を摘除できることが、大きなメリットになります。
手術療法の欠点
術後の尿漏れ
これが手術療法の最大の欠点と考えます。
ロボット手術が標準術式となった現在でもやはり一定頻度で尿漏れは起こります。ほとんどの患者さんは1年以内に改善することが多いですが、
1年以上たっても改善しないこともあります。
術後早期の尿漏れ対策が重要と考えており、当院では磁気刺激療法による前立腺がん手術後の尿漏れ対策を行っています。
前立腺の尿道側の切除lineで括約筋を一部切除 - Google 検索
前立腺がん手術後の尿もれはどれくらいの頻度で起こって、いつ治る?
前立腺がん術後の尿もれの頻度については
施設によって色々な報告がありますが、
経験上大体以下の割合くらいではないかと思います。
退院時にパッドなし 15%
1か月後にパッドなし 30% パッド1日1枚 60%
3か月後にパッドなし 50% パッド1日1枚 80%
6か月後にパッドなし 70% パッド1日1枚 95%
1年後にパッドなし 75% パッド1日1枚 97%
我々外科医はパッド1枚は許容範囲という暗黙の了解?があり、
パッド1日1枚までは尿漏れなしとすることが多いです。
(患者さんにとってパッドなしとパッド1枚では大きく違うとは思いますが、、)
ですので手術の説明の際は、
大体半年くらいで9割の患者さんが漏れなくなりますと説明することが多いと思います。
この頻度をみて一番大事なことは、
術後6か月までは尿漏れは急速に改善していくが、
6か月を超えると1年経ってもあまり改善がみられないということです。
術後半年で漏れがよくならない人は危険信号です。
腹筋をはじめとするアウターマッスルを使ってしまうと尿もれに対しては全くの逆効果 - Google 検索
磁気刺激装置による骨盤底筋リハビリによる尿もれ治療 - Google 検索
放射線治療の欠点
治療後の予測、再発時の診断が困難、再発時に手術ができない
放射線治療の最大の欠点は、
「前立腺がとれない」ため、実際どれくらいの悪さの前立腺がんかが分からないので、再発の予測は困難です。
また、治療後のPSAの値がどこまで下がるかは個人差がありますので、
治療後の再発の定義もあいまいになります。
さらに放射線治療後に再発した場合、手術は困難ですので、
ホルモン治療しかなくなってしまいます。